生け花用はさみ、日ごろのお手入れ方法

2022年3月1日

花ばさみは日ごろのお手入れが大事


花ばさみは、生け花には欠かせない基本の道具のひとつです。
「花ばさみはもう一つの手」という言葉があるほどで、
自分の手のように自在に花ばさみが扱えるようになればいけばな上級者です。
大切な花ばさみだからいつまでも切れ味良くきれいに使いたい。
今回のコラムでは、花ばさみの日ごろのお手入れ方法、お手入れグッズの紹介をしていきます。

生け花用の花ばさみの特徴


生け花用のはさみは普通のはさみと違い、柄の部分が長く、指を通す輪がありません。刃が短いのも特徴です。
流派によって使用するはさみが異なりますが、池坊では、写真のような蕨手(わらびて)のものを使います。
大きさ、材質にさまざまな種類があるので、自分の手に合うものを選びましょう。
握ったときに、柄の先の巻いた部分が手から少し出るくらいのものがおすすめです。
男性は六寸(約18㎝)、女性は5.5寸(約16㎝)が目安となります。

使った後のお手入れ


花ばさみは汚れで開閉しづらくなることがあります。
お稽古で使用した後は草木から出る水気や灰汁(あく)を布でよく拭いて、乾かしましょう。
さらに以下にご紹介するお手入れグッズを使用することで、花ばさみは簡単にお手入れをすることができます。

刃物クリーナー


刃物に付いた松ヤニが簡単に取れます。
汚れた刃に吹き付けて20秒ほど放置し、乾いた布でふき取るとラクに汚れが落ちます。

さびトール


消しゴムのようにこするだけで、花ばさみについたさびや汚れが取れる優れものです。

とぎまる


軽くて研ぎやすい花ばさみ専用の砥石です。
使用する時は軽く水、または油を砥石部分につけ、刃の表面、かえし部分に砥石を押し当てながら数回研ぎます。
往復研ぎをしないように注意。(研ぎ作業の際には、刃先には十分注意しましょう)
「研ぐ」タイミングは切れ味に不調を感じた際や、周期的に行う程度で十分です。


花ばさみを片付けるときは、油紙(油を塗った防水・防錆用の和紙)などで刃先を包んでおくのも良いでしょう。
また、花ばさみは普段から、はさみ先袋や花ばさみケースで持ち歩くと花ばさみの保護にもなります。


基本は日々のお手入れで、はさみの状態は保たれますが、
大切に使用していても経年劣化は起こります。
新年などの節目に専門の研屋さんへ依頼するのもおすすめです。
百貨店の刃物売り場や、ホームセンター、近所のスーパーへ車での移動研屋さんが来る地域もあります。
チラシやポスターなどを目にしたら覚えておくとよいでしょう。
大切なはさみだからこそ、日ごろのお手入れを怠らず、長く使い続けたいものです。