作品集 花化粧 特集
小林春荘教授作品集
花化粧 -陰陽二体から三体へ-
生花以前の陰陽二体の花に加え、
「五ヶ條」「七種傳」「変化形」「別傳」のほか、
はらん7~15枚の作品や四季ごとのかきつばたの作品など計140作品を掲載。
また、作品写真も、見開きの左右ページで本勝手・逆勝手が対になって見えるよう計画的に制作を進めた、意欲的な作品集です。
さらに、小林教授所蔵の史料的にも貴重な36世池坊専純の『専純生花巻』全作品図と、教授による専純生花の考察を収録。
学びの点でも見応えのある一冊を、ぜひお手元に。
充実した見応えある作品集
花化粧 ―陰陽二体から三体へ―
商品番号:10250200
池坊専永/監修 小林春荘/著
A4変形判、並製、176ページ
4,400円(税込)
01
考察 専純の生花
作品集のみどころ
小林春荘教授所蔵の資料的にも貴重な『専純生花巻』の全作品図や『生花正意四季之友』との比較、
専純生花への考察を掲載。
図 2Aは資料Aの牡丹の一種生です。いまだ固い蕾と、今にも咲きこぼれそうな開花との対比が効果的な作品です。資料Bの図 2Bの牡丹と同じ蕾一輪、開花一輪で構成されていますが、いけ方の違いは明らかです。現在、牡丹は『生花七種傳」の一つとして伝承され、蕾一輪、開花一輪の構成方法は変わりません。また牡丹はその徳を賞して、真・行・草の分類では真に当たるものとして扱いますが、この図 2Aの方が花器も含めて、より真の趣を出しているように感じます。
図 3Aは登料Aの清骨の一種生です。花は一輪と開花一輪、葉は巻葉一枚、開葉二枚でいけられています。図 3Bの資料Bの河骨の作品に見られるような水中に沈んだ葉はなく、すべて水際から立ち上がっています。真のような縦長の花器にもかかわらず、横長の花形にいけられています。これは河骨の出生の表現のためなのか、水物として水面の広がりを感じさせるためでしょうか。
図 4Aは資料Aの無子花の一種生です。開花一本、蕾一本、葉九が描かれており、その開花と蕾の上下の配置が、資料Bの図4Bと逆になっています。燕子花は四季にわたっていけられるので、両者は季節が違うのかもしれません。図 4Aの作品はちょうど見頃の開花を中心に高く上げ、燕子花の群生美を数少ない本数で表現しています。
図 5Aは資料Aの女節花と着類の二種生です。まっすぐに立ち伸びた一本の女郎花の下に、白い桔梗が二本根〆に使われ、まとめられています。二種類の花材がお互い生かし合いながらも、それぞれが明確に主張しており、初秋の清澄感がある作品です。図 5Bの資料Bと比較すると、女郎花の扱い方、表現方法の違いが一目瞭然です。
02
陰陽二体の花 作品
作品集のみどころ
抛入から発展した陰陽二体の花24作品を四季ごとに分けて掲載掲載。