初心者向け!生け花を習う時、必要な道具は?

2021年8月31日

生け花を習う時には、どんな道具や準備が必要になるのでしょうか

前回のコラムでは“生け花とは?”について初心者が知りたいあれこれを書きました。


今回は、実際に生け花では、何が必要か、
どんな道具があるのか。
どこで買うことができるのか。
そんな初心者の疑問にお答えできればと思います。


初心者に強い味方、“いけばなはじめてセット”


内容品は、生け花をする際に必須の花ばさみ、剣山、花器と、
花ばさみの刃先をカバーする鋏先袋や
お稽古の持ち帰り用に花材を包む花合羽を合わせた5点です。
迷ったときはセット商品を購入するのがおすすめです。

いけばなを習う時、必要なもの


いけばなを習う時にまず必要になってくるのは、下の4つの道具です。


・生け花用花ばさみ
・花留め/剣山
・花器
・花袋

生け花用、花ばさみ


生け花用の花ばさみは流派によって違います。
大きくは、持ち手の形が植物のわらびに似た「わらび手」と、大きくなだらかな輪を描いた「つる手」があります。
前者は主に“池坊”や“草月流”などで使われ、後者は主に“古流”系の流派で使用されています。


生け花用の花ばさみは、その特徴として刃の角度が鋭角につくられており、草花の繊維を潰さずに切断する事が可能です。
植物の水の吸い上げを損なわないため、生けた花を長い期間楽しむことができます。


素材としては、主に鉄製(鋼)、ステンレス製のものが多く流通しているようです。
鉄製は取り扱っているお店も多く、比較的安価なものもあります。大きさも数種類あり、手の大きさに合った一品がきっと見つかると思います。左利き用もあります。
鋼はねばりがあり、やわらかく、どんな草木にも適しています。水分によるさびの心配があるため、こまめなお手入れが必要です。


ステンレス製は鉄製に比べ、刃こぼれすることもありますが、さびにくく、お手入れも簡単に出来る利点があります。しかし、人によっては、材質が硬く扱いにくいと感じられることもあるようです。
さびにくいはさみとしては、近年、フッ素加工された花ばさみも目にします。


花ばさみは商品見本などを手に取り、自分の手に合ったものでお稽古をするとよいでしょう。

花留め/剣山


花を固定したいときに使用する道具の総称を“花留め”と呼びます。
生け花において花留めの代表格は“剣山”です。
円形または四角形の鉛製の台に、釘が剣先を上向きに並んでおり、そこへ花を挿して留める道具です。
従来、剣山は金属製であることがほとんどでしたが、用途に応じて、ガラスの器などに適した、プラスチック製で透明な剣山や、自由にカットして使用することができるシート状のカッティング剣山などを使うこともあります。

剣山各種プラスチック剣山


金属製の剣山は重く取り扱いにくいものですが、この重さがあることで草木がたおれない利点もあります。


生け花では剣山の他にもさまざまな“花留め”を使用します。
そのバリエーションは、フラワーアレンジメントでも使用される吸水性スポンジムや、藁を束ねた“こみわら”とよばれるものなど、アイデア品も含めるとさまざまあります。花留めについては改めてコラムを掲載する予定ですので、乞うご期待ください。

吸水性スポンジ理想込み藁

花器


生け花では、花選びのほかに花器選びも楽しみのひとつです。
「花を人に例えるならば、花器は衣装」などと言われるほどに、どんな器に生けるかで作品はガラリと印象が変わります。


花器には陶磁器、ガラス、木、竹、銅、ステンレス、アクリルなどさまざまな素材があります。
表現したいことや、選んだ花の色や質感に花器を合わせる、または「この花器を使いたい」という視点から作品は生まれます。生けやすい花器、好きな花器を見つけることで、生け花はもっと楽しくなります。


とは言っても「どんな花器があるのかわからない」「お稽古では毎回、自分で花器を持参するの?」そんな疑問を耳にすることがあります。
ご安心ください。花器も、お稽古場に用意されていることが大半です。
ご自宅で生け花をされる方へ。花器の一覧をこちらにご案内します。

花袋


生け花のお稽古では、先にお話ししたように、剣山と花器はお稽古場で借りて使うことが多いため、完成した作品をそのまま持ち帰るフラワーアレンジメントのレッスンと違い、生けた花を剣山から抜いて持ち帰ります。そこで活躍するのが花の持ち帰り袋、花袋です。


このコラムの最初に登場した“いけばなはじめてセットの“花合羽”は花をロール状に包む道具です。茎の先を納めるポケットが付いていて、包みがほどけないように結ぶ紐も付いている便利な道具です。花合羽だけでも持ち帰りには十分ですが、手提げが付いた袋があったらもっと便利だと思いませんか?
この要望に応えた商品が“花袋”です。持ち手が付いて、さまざまな柄があり、ユニセックスな柄も用意されているので男性でも気軽に使用できます。


お稽古場によって環境、スタイルが異なるため、それぞれのお稽古場への事前確認は必要となりますが、初心者がお稽古に持っていく道具としては、花ばさみと花袋が一般的でしょう。そのほか、お稽古ノートがあると、その日のお稽古を記録することができます。

生け花の道具、どこで購入できるの?


普段、立ち寄るお店では、なかなか生け花道具が販売されているのを見かけることはありません。どこへ行ったら購入できるのか、そうした質問を耳にします。

華道具専門店や通信販売


株式会社日本華道社が運営している日本華道社売店(京都市中京区)や、同社が運営している当サイト(フラワーショップ花楽)の通信販売サイトを利用しましょう。
東京都内であれば、池坊東京会館(東京都千代田区)4階、華道具専門店「すずや花器店」があります。
また、いけばな各流派には御用達の華道具屋があり、店舗や通信販売サイトがあるので各流派HPで確認して利用する方法もあります。

ホームセンター、大型生花店・園芸店


専門店にはおよばず、店舗により差がありますが、品ぞろえが充実しているお店を見かけることもあります。近所でこうしたお店を知っておくと頼もしいです。

茶道具店


“茶華道具店”として華道具が販売されています。

手芸店


意外と知られていませんが手芸店でもワイヤー類やフローラルテープ、吸水性スポンジなどは手に入ります。どんなものが売っているか知っておくと便利です。

花展会場の物販コーナー


開催している花展の流派に関する道具や専門書が購入できる貴重な機会です。先に述べたように流派独自の道具もあり、中には他流で使用することがはばかられるものもあるので、注意が必要です。池坊の最新花展情報についてはのこちらをチェック。

あったら便利な生け花グッズ

専門書


各流派が発刊しているテキストや作品集など。(池坊のテキスト・作品集はこちら)
基本的にはお稽古に通って習うことが主流となっている生け花ですが、お稽古の補助教材や作品集などは、もっと学びたい欲を満たしてくれるでしょう。

ワイヤー類


生け花で作品を作るとき、花材の補強や意図的な形づくりをする際にワイヤーを使用します。ワイヤーは、太さ、長さ、色、それぞれあります。用途に応じて使いこなすことで、より理想の作品に近づけることができるでしょう。

テープ類


植物に添わせたワイヤーを見えなくするためにその植物と似た色のテープを巻くことがあります。これは補強の効果もあります。そのほか、手折った茎や枝の吸水補助のために特殊な吸水テープ(水揚げテープ)を使用することもあります。これも用途に応じて使い分けましょう。

水揚げ剤


花の日持ちを良くしたい。水揚げが良くない植物を新鮮に使いたい。展示会などで数日間展示しなければならず水の腐敗を出来るだけ防ぎたい。そんな時は、植物の水揚げ剤や延命剤、水の浄化剤などが役に立ちます。それぞれに効果と使用法を確認して賢く使うことで、美しい作品を保つことができます。

 


後半の便利な道具は、さまざまある生け花道具のほんの一部です。
生け花の作品づくりは奥が深く、そしてまた、道具も多種多様に存在します。
各種道具は、必要になった時に買い揃えることをおすすめします。
たくさんの道具が使いこなせるようになることも、自身の成長の証になるでしょう。